●自然免疫賦活物質としての「LPSp」の発見
全ての多細胞動物が持つ普遍的な生体防御機能として自然免疫と呼ばれるシステムがある。このシステムの中心的役割を担う細胞がマクロファージである。1991年、杣源一郎教授(徳島文理大学・健康科学研究所・免疫アレルギー部門)らは、小麦粉中に、マクロファージを強力に活性化する物質が存在することを見出した。この生理活性物質の本体は小麦に共生するパントエア・アグロメランスという細菌の細胞壁から得られる糖脂質である。杣教授らはこの物質をPantoeaから得られたLipoPolySaccharide(糖脂質)ということから、「LPSp」と名づけた。
パントエア・アグロメランスは、小麦、果物、じゃがいもなど食用植物に付着、共生している細菌で、人類が太古から体内に入れてきた良性菌である。このパントエア・アグロメランス由来のLPSpは、自然免疫の中心的細胞であるマクロファージを活性化することにより、免疫力を賦活し、生物本来が持つ生体恒常性維持能力を高める機能がある。
●マクロファージ細胞とは
マクロファージ細胞は、全ての多細胞動物が持っている原始的な細胞で、最も基本的な機能は、貪食機能である。すなわち、体の中の老廃物、死んだ細胞や、侵入してきた病原性細菌などを貪食処理する。
しかし、マクロファージの機能は貪食だけにとどまらない。この細胞は、生体内のあらゆる組織に存在する。活性化により、種々の抗菌物質を産生し、さらに他の免疫細胞の活性を調節するサイトカインを分泌する。個体レベルで見ると、マクロファージは、感染防御、新陳代謝、創傷治癒、代謝調節に働いている。従って、マクロファージを適切に活性化する物質は、生物において、病気を予防し、病気からの回復を促すポテンシャルを持っている。
マクロファージを活性化する物質として発見されたLPSpは、ヒトの代謝症候群(生活習慣病)を予防・改善するための機能性食品、感染防御が重要な課題である畜産・水産養殖動物の飼料、皮膚を健全な状態に保つためのスキンケア用品など、様々な分野での応用が考えられる。
●安全性
ラットにおける2週間反復経口投与毒性試験、皮内投与毒性試験(株式会社富士バイオメディックス)により、LPSpに毒性がないことが確認されている。
●小麦発酵抽出物
杣教授のグループとヤヱガキ発酵技研は、LPSpを安全・安価・安定・大量に素材化するための製造技術を開発した。この技術は、LPSpの由来するパントエア菌を、動物成分を一切使わず、小麦粉を主原料として発酵培養し、簡便な方法でLPSpを抽出する方法である。小麦粉は安全、安価であると同時にショウバクと呼ばれて漢方薬としても数えられている。得られた小麦発酵抽出物は、有効成分としてLPSpと、小麦の生薬成分を含む。
●特許
パントエアおよびその糖脂質について、これまでに特許を成立させている。さらに小麦発酵培養技術についてもPCT出願済みである。
(自然免疫応用技研のページ「自然免疫賦活物質の応用」より)
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